授業担当教員から

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橋田久(刑法)
名古屋大学大学院法学研究科教授

 
法科大学院における刑法の学修
 刑法の学修は、文章を緻密に読む作業を通じて、刑法の基本的な概念や理論を理解し、特に刑法的思考の根幹を成す、構成要件該当性、違法性、責任の三段階の犯罪論体系を自家薬籠中のものとするところから始まります。その段階を過ぎると、次には具体的な事案に立ち向かうことになります。そこでは、事実が持つ刑法的な意味を考え、それまでに修得した基礎知識を応用して、妥当な結論を導くのです。刑法の分野では、振込詐欺、人工知能等、一昔前には存在しなかった問題が、社会の変化や技術の進歩に応じて続々と出現しており、法曹として活躍しようとする諸君にとっても、いずれは避けて通れない課題となるでしょう。しかし、一見目新しい問題も、伝統的な論点に新たな角度から光を当てることによって解決の糸口が見えて来るものであり、論ずるに当たっての基本の重要性に変わりはありません。
 学生には、情報が与えられるのを鎮座して待っているのではなく、社会に生起する刑法的問題に対して常に鋭敏であることを望みますが、それに優るとも劣らず大切なのは、体系書を韋編三絶に至るまで精読する、必ず条文を確認する等、基本を疎かにしない姿勢です。そのような地道な勉強方法が、長い目で見れば最も効率的なのです。

小畑 郁(国際法)
名古屋大学大学院法学研究科教授

 
グローバル化を主体的に乗り切る法曹に
 法科大学院の学生やその志望者には、現在の法に対して受け身になるのではなく、将来を見据えて主体的に日本法に働きかけていく法律家となっていってほしいと考えています。その点、国際法は、たしかにすべての法律家に必須というわけではありませんが、経済のグローバル化の下での日本法の昨今の変容を捉えるためには、その現状を正確に理解しておくべきものであると思います。
 法科大学院のカリキュラムで国際法の教育に割ける時間は、国際法の体系と実践的な問題への解決とをひととおり理解するのに十分とはいえないという現状があり、私にとっても悩ましいところです。履修してくる学生の到達度によっても柔軟に対処したいと思いますが、心がけているのは、国際法を動態的に把握できるようにすることです。つまり、あれこれの規則や判例の個別的動向もさることながら、それらがどのような全体的な動きと結びついているのか、ということをできるかぎり明らかにしたいと考えています。