目的・理念

基本コンセプト

日本の法学・政治学系の人材は、問題分析・整理、組織統括、社会運営能力、紛争処理能力の面で高い評価を受けてきました。このプログラムでは、日本/外国という仕切りにとらわれることなく、世界を自由に往来してこの種の実践能力を発揮できるリーダーを、制度の国際移転の現場(法整備支援プロジェクトなど)を活用して育成します。

養成する人材

このプログラムでは、以下のような能力を備えた専門家を養成します。

  • 法令の起草を含めた高度の法的技能を持つ。
  • アジアに強い関心を持つ。
  • 柔軟な精神で、多様な社会を理解し、比較することができる。
  • 制度移植の場面で、きちんと機能する適切な制度を設計し、提案することができる。
  • 多様な背景を持つ専門家のチームを組織し、運営することができる。
  • 他の人々や専門家たちとコミュニケートすることができる。

語学力の面では、英語プラス1(アジア言語)の習得を求めます。

プログラムの特色

研究者としての基礎能力を持ったうえで、まず外国で専門職に就くことを重視します。
活躍の場面としては、外国に展開する企業における組織運営、法整備支援現場での業務統括、国際支援機関でのプランニング、外国政府の顧問、国際機関への就職などを想定しています。

(1) 社会問題の分析・特定作業

法整備支援の現場をフィールドとして、earning by doing方式でリサーチ能力、問題解決構想能力、組織力を訓練します。

(2) 学生チームによる比較法、比較社会研究

国籍の違う学生が相互に自国とその法・政治を相手に説明し、比較することを通じて、互いに重要な研究課題を発見させ、共同作業を通じて生涯にわたる相互信頼を得るとともに、国際的な人脈・協力関係を構築させます。

(3) 法以外の多分野の専門家を組織

大型研究の構想提示・運営能力に相応する能力開発を行い、マネジメント能力を開発して、協働できる能力を育成します。

(4) 国際的な研究指導体制と海外インターンシップ

研究指導は、内外の専門家(名古屋大学Alumniを含む企業人、政府機関職員、研究者など)がチームを組んで行ないます。海外インターンシップを実施し、原則として参加を義務付けます。インターンシップでは、内外の専門家が現地で指導に当たります。

(5) 本格的な多言語リサーチ能力の開発

国立国会図書館アジア言語OPACなどを活用して、学生が多言語でリサーチできる能力を開発します。

(6) 入学者選抜

一般募集に加え、国内外の大学ネットワークを活用した推薦を活用します。国際チームによる面接により、優れた学生を確保します(約10名程度)。

博士課程リーディングプログラム

(通称・リーディング大学院)

「博士課程教育リーディングプログラム」は、優秀な学生を俯瞰力と独創力を備え広く産学官にわたりグローバルに活躍するリーダーへと導くため、国内外の第一級の教員・学生を結集し、産・学・官の参画を得つつ、専門分野の枠を超えて博士課程前期・後期一貫した世界に通用する質の保証された学位プログラムを構築・展開する大学院教育の抜本的改革を支援し、最高学府に相応しい大学院の形成を推進することを目的とした、文部科学省・日本学術振興会の事業です。
採択されたプログラムには、(1) 国内外の優秀な学生が専門分野の枠を超えて切磋琢磨しながら、主体的・独創的に研究を実践するとともに、国内外の多様なセクターからの第一級の教員が密接に研究指導を行う魅力ある環境を提供するものであること、(2) 優秀な学生を広く産学官にわたり活躍するリーダーへと導くため、解決すべき課題に基づき、産・学・官が企画段階から参画した国際性・実践性を備えた研究訓練を実施するものであることなどが求められています。
2011年度は、全国で101件の応募から21件が採択されました。本プログラムは、このうち「世界的に独自の優れた資源を活かし、新たな分野を拓くリーダーを養成する学位プログラム」であるオンリーワン型6件のうちの一つであり、全体を通じてほぼ唯一社会科学系の取り組みになります。

→ 日本学術振興会「博士課程教育リーディングプログラム」
→ 文部科学省「博士課程教育リーディングプログラム」

プログラム・コーディネータ

松浦好治 教授

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1971年・大阪大学法学部卒、1973年・大阪大学法学研究科修士、1975年・Yale Law School LL.M.。中京大学法学部、大阪大学法学部を経て、2000年より名古屋大学法学研究科に勤務。専攻は法情報論・法思想史。主要著作に『法と比喩』(弘文堂、1991年)、『法情報学』(加賀山・松浦編、第2版補訂版、有斐閣、2006年)がある。