目的 of 名古屋ロー・レビュー

 

 本誌の目的は,「名古屋大学法科大学院関係者(学生,修了生,教員,教員であった者)その他中部地区を中心とする法律関係者の研究・活動成果を公表することにより,法律理論・実務の発展に貢献すること」です。

 本誌は,この目的を達成するために,次の3点を特徴としています。
 (1)学生のみではなく,広く,名古屋大学法科大学院関係者の原稿を掲載すること
 (2)理論・実務のいずれにも偏らない編集方針を採ること
 (3)中部地区初のロー・レビューであり,将来的には,広く中部地区における法律雑誌として発展したいと考えていること
 本誌が,投稿資格を「特に問わない」とし,名称を『「名古屋」ロー・レビュー』としたのは,その表われです。

 我々は,本誌の創刊が,法科大学院の学生や修了生の専門性の形成に有用であるとともに,法科大学院制度の発展に貢献するものであると確信しています。

 そもそも,法科大学院は,司法へのアクセス向上を目的として,2006年10月に業務を開始した法テラス,国民の司法参加を目的として,2009年8月に初めての公判が開かれた裁判員制度と並ぶ司法制度改革の3本柱として,2004年4月に開設されました。その目的は,法の支配の担い手を輩出することでした。

 その後、2006年に始まった新司法試験が,回を重ねるごとに,当初,想定されていたよりも,大きな選抜の「点」になっていることもあり,世間では,法科大学院修了生の新司法試験合格者数・合格率に注目が集まり,法科大学院はあたかも新司法試験の予備校であるかのように思われています。しかし,法科大学院が設置された目的に立ち返ると,真に問われるべきは,法科大学院で法律理論・実務を学修した「法務博士」が,社会で,どのように法の支配の実現に貢献するのか,ひいては,法科大学院ができたことによって,社会は良くなったのか,であると考えます。

 名古屋大学法科大学院は,修了生を対象に「キャリア支援企画」が開催されているなど,修了後も,修了生の法律家としての専門性の形成に意を注いでいますが,このロー・レビューは,学生・修了生が,主体的に,執筆者としてあるいは編集者として社会に向けて発信するものです。

 人々の関心が新司法試験合格者数・合格率の1点に集中するなか,『名古屋ロー・レビュー』が,それだけではない,そして,本来的な法科大学院の存在意義について,一石を投じることができれば,これに優る喜びはありません。