HOME > 研究概要 >自己評価(中間報告 [2007年5月])
本プロジェクトは、国際的にかなり大規模な人的ネットワークの形成と、恒常的な研究活動を維持する必要があり、またこのような共同研究はこれまで例を見ないものであったために、当初はかなりの困難が予想された。しかし、このような困難は、各国の専門家が強い学問的興味を示すと共に本プロジェクトに対する強い協力を惜しみなく与えてくれたおかげで、研究初年度から既にかなりの充実したネットワークの構築を実現することができ、また第1回国際シンポジウムを短期間の準備で開催することができた。各国際シンポジウムは極めて好評であり、ドイツを中心に、参加意思を積極的に示す研究者が増加している。今後はできるだけ広く、若い研究者の参加が期待され、更に活発な意見の交換が期待される。
人的ネットワークの形成とその維持展開には、各国研究者との恒常的な関係の維持及び信頼の形成が不可欠である。本研究プロジェクトでは、名古屋大学に於ける研究拠点の研究員及びフライブルクにおける研究所の研究員の極めて高水準の研究補助の能力と個人的な信頼関係に支えられて、各国研究者は恒常的にこれらの拠点との関係を維持し連絡を重ねている。現在、研究が極めてスムースに進行しているのは、各研究者相互間の信頼関係だけでなくこれを支える研究補助者のチーム・ワークに依るところが大きい。
フライブルクにおける研究拠点は、本プロジェクトにとって極めて重要な意味を持つが、この研究拠点の維持にはフライブルク大学のシュツルナー教授を初め同大学及び法学部の全面的な協力に支えられている面が大きい。
当初予想された困難の多くはこれら多くの人々の協力により、いずれも解決されている。
本研究は、国際的なビジネス訴訟を中心にアクチュアルな法情報の恒常的な交換システムを構築するための方法として各国訴訟法に関する専門家の人的ネットワークを構築し、新たな比較法研究の創成を目的とする。このような、人的ネットワークによる包括的で恒常的な研究体制はこれまで存在せず、回を重ねる毎に相互の理解が深まっている。比較法的研究にはこの方法が極めて有用であり、発展性に富んだ方法であることが明らかになりつつある。このような対話を通じた問題の発掘・展開は、単に国際的な情報の交換だけでなく、各国の法制度自体を改めて位置づけ再検討する契機を提供することになっている。先端的な法律問題には、単発的に論じる場合にふれることのできないかなり複雑な歴史的背景、考え方の違い等の根本的な問題につらなるものが多いということが、あらためて明らかになっている。
欧米では学会や個別的シンポジウム等を通じて研究者の個人的なネットワークは存在するが本プロジェクトのような組織的な研究を目的とした人的ネットワークは存在しない。外国においても本プロジェクトが次第に注目を集めている。わが国では、特に比較法の組織的研究体制が存在せず今後このような方法を発展させることにより、今後我が国の比較法研究教育を飛躍的に発展させることができよう。
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