本研究では、海外の研究者の協力を得ることが不可欠である。この点について申請者は、従来様々な機会に多くの海外研究者と研究上の交流を続けており、これらの関係を利用して本研究のためのネットワーク作りを始める。本研究を進めるうえで必要な、海外研究者との関係や連絡状況などは以下の通りである。
平成12年から平成15年まで、国際民商事法統一協会(UNIDROIT)のワーキンググループ研究員として、アメリカ法曹協会と国際民商事法統一協会の共同プロジェクトである「渉外民事訴訟の原理と規則(Principles and Rules of transnational civil litigation)」の草案作成作業に参加した。このプロジェクトは、英国ケンブリッジ大学アンドリウス(Andrews)教授、フランス・リヨン大学フェラン(Ferrand)教授、アメリカ合衆国ペンシルベニア大学ハザード(Hazard)教授、アルゼンチン・メンドーサ州最高裁カルルッチ(de Carlucci)判事、スイス・ジュネーヴ大学ラリーヴ(Lalive)教授、ドイツ・フライブルク大学シュツルナー(Stuerner)教授及び日本からは申請者名古屋大学河野の合計7名によって構成され、毎年同協会本部(イタリア・ローマ)で1週間の検討会議を行ったが、2003年にその草案作成作業は終了した。この最終案は2003年には国際民商事法統一協会の理事会で承認され、2004年5月に開催されたアメリカ法曹協会の総会でも承認され、公表された。本研究は、このプロジェクトにおいて目標とした、渉外的な民事訴訟手続に関する各国法の調和の実現と相まって、実際のビジネス紛争の裁判による解決の実効性を高めるために不可欠な、各国の民事訴訟を中心としたビジネス紛争に関わる様々な法制度や今日の問題についての情報を交換するための制度を構築しようとするものであり、このプロジェクトに参加した共同研究者の理解を得ることができる。すでに、このような新たな研究の可能性については、メンバーの幾人かと意見の交換をした。
ドイツ・フライブルク大学シュツルナー教授及びアメリカ合衆国ハーバード大学マリー教授(Murray)と申請者は、3人ですでに民事訴訟を中心としつつ、最新の国際的なビジネス紛争についての民事裁判手続に関する共同研究と、それに関するシンポジウムを平成17年秋に名古屋大学で開催する旨の合意をし、準備中であり、実質的には本研究は既に着手しているといえる。このような試みは、今後さらに毎年継続・拡大して進めることにしている。
これらの諸国以外についても、北欧については、スエーデン・ルンド大学とは交流協定を締結しており、共同研究の可能性について協議が進行中である。ギリシャ・アテネ大学とは、平成8年に申請者が講演に招かれ一連の講演を行った(その成果は、Aufrechnung und Schiedsgerichtsbarkeit, ZZPInt, 1999,業績目録参照)ことでもあり、同大学ケラメウス教授(Kerameus)とは日常的に連絡がある。イタリア・カターニア大学ジュサーニ教授(Giusanni)とは連絡があり、その協力を得ることが期待できる。さらにまた、ポーランドについても、申請者はルブリン大学に招かれて、本研究に関する事項についての講義・講演を行い、同大学サウックチョク教授(Sawczuk)と理論的な検討を行った。その後継続した連絡があり、協力を得ることができる。アメリカ合衆国ウィスコンシン大学ロースクール(マディソン)とは、名古屋大学法学研究科と交流協定を締結しており、また、コーネル大学法情報研究所とは、共同研究を行うことが約束されている。
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