HOME | 研究科紹介

MESSAGE 研究科長からのメッセージ

 
研究科長からのご挨拶
鈴木將文

名古屋大学大学院法学研究科・法学部のご紹介

 名古屋大学大学院法学研究科・法学部は、1948年(昭和23年)に名古屋大学法経学部の法律・政治両学科として発足し、さらに1950年(昭和25年)に名古屋大学法学部となりました。間もなく法学部創設から70周年を迎えます。この間、当研究科・学部から巣立った卒業生・修了生は1万名を超え、ビジネス、国・地方公共団体、学界など社会の様々な分野で活躍をされています。
 当研究科・学部の特色は、第一に、法学・政治学に関し、充実した教育・研究環境を提供できることです。各専攻分野をリードする優れた研究者又は実務家である約60名の教員スタッフが、全力投球で教育と研究に当たっています。専門図書等の基盤の充実にも努めており、さらに内外の研究者等を招聘して実施する講演会・研究会なども活発です。また、多様な人材の受入れや多彩な活動が可能でありつつも、学生と教員(をはじめとする大学側)との距離が遠すぎないという、規模の適切さも長所のひとつです。その他、当研究科・学部の特色については、本サイトの「名古屋大学法学部の特色」などをご覧いただければ幸いです。
 特色の第二は、国際的な取組みが活発であることです。当研究科は、学部創立40周年事業の一環として、1991年4月にアジア太平洋地域法政研究教育事業基金を設立し、機関としてアジア諸国の法・政治についての研究教育を開始しました。1998 年からは、市場経済への移行など経済的・社会的改革を進めるアジア諸国に対する法整備支援事業に取り組み、留学生の受入れやアジア各国に設置した「日本法教育研究センター」における日本法教育などを進めてきました。こうした実績が評価され、2015年には文部科学省の助成を得て5階建てのアジア法交流館が落成しています。近年は、日本人学生の海外派遣や留学支援にも力を入れておりますし、また、留学生はアジア域外の国々からも広く受け入れており、その数は約190名(出身国は30か国)に上っています。当研究科・学部に在籍する学生は、留学生との交流や留学などを通じて、現代社会が求める国際性豊かな人材となるための素養を身に付ける機会に恵まれているということができると思います。
 

法学・政治学を学ぶ意義

 ここでは、特にこれから大学入学を目指す方に対して、法学・政治学を学ぶ意義について私が個人的に感じている点を述べてみます。
 第一に、法学・政治学は、究極的には、社会の仕組みの作り方(手続きと内容の両面)に関する学問といえます。世界に目を向けると、20世紀の終盤には、経済のグローバル化の急速な進展(WTOの発足や中国のWTO加盟がその象徴です)、冷戦の終結などにより、人々の価値観が収斂し、社会の仕組みも単純化するかのように見えた時期がありました。しかし現実には、人々の価値観や意見はむしろ多様化し、さらにインターネットの普及によってそれらがそのまま表出され、人々の間の差異が一層顕著になっているように思われます。そのような中、構成員のすべてが満足する社会はもとより、その多数が満足する社会さえ、実現が一層難しくなっており、それだけに、社会の仕組みについて考察する法学・政治学を学ぶ意義は一層高まっていると思います。
 第二に、法学・政治学は「ことば」を扱う学問です。法律は言語で表現されますし、政治においては言論が大きな役割を果たします。私の専門である法学について述べれば、物理的な力ではなく言語・言論を通じて、他者を説得し社会を規律するという理念の上に立つ学問といえるでしょう。そして、法学や政治学を学ぶことは、「ことば」の力を学ぶことでもあります。その学習を通じて、皆さんは「ことば」により敏感となり、またこれをうまく使いこなす能力を高めることができるはずです。そして、そのことは、皆さんが将来社会で活躍されるときに、必ず役立つと思います。
 なお、以上のように「社会」と「ことば」という切り口から法学や政治学を学ぶ意義を考えてみると、皆さんにとって、法学・政治学それ自体のほかに、「人間」について知ることも欠かせません。社会の構成員であり、また、ことばを発し、その作用を受けるのは、人間であるからです。人間を知るというのは、芸術文化などの教養を身に付けるということばかりではありません(そのような面にも挑んでみてほしいとは思いますが)。友人との付き合い、趣味や旅行を楽しむことなども、人間に対する皆さんの理解を深めてくれます。学部生時代には、勉学や就職活動だけでなく、ぜひとも幅広い活動に取り組んで、視野を広げ、人間性を高めていただきたいと思います。