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当プログラムの学生がトヨタ財団研究助成を獲得


博士後期課程1年の堀井穂子さんが、公益財団法人トヨタ財団の研究助成を受けることになり、このことが2016年3月に広報されました。研究テーマは「国際人権法の社会規範再構築機能の検証―インドネシアの幼児婚と多元的法制度―」です。堀井さんはインドネシアの児童結婚を研究対象としており、現在はVan Vollenhoven Institute/KITLV, Leiden Universityに渡って活動しています。

この概要は以下のウェブサイトでもご覧いただけます。
http://toyotafound.force.com/psearch/JoseiDetail?name=D15-R-0169

以下は堀井さんからのレポートです。

私は今、ライデン大学のthe Van Vollenhoven Institute for Law, Governance, and Development (VVI)とthe Koninklijk Instituut voor Taal-, Land- en Volkenkunde / Royal Netherlands Institute of Southeast Asian and Caribbean Studies (KITLV)という2つの機関に所属して博士課程の研究を続けています。ここでの研究では、多元的といわれるインドネシアの法制度に焦点をあて、幼児婚をケーススタディーとして実社会の慣習がどのように国際的人権基準と違っているのか、そしてそれはなぜなのかを解明しようとしています。上記の両機関とも、インドネシアを専門とする研究者が多く、特にVVIでは法社会学の方法論に関して、またKITLVでは歴史や人類学の分野でのインプットが得られ、私の研究テーマにとってこれ以上の研究環境はありません。

撮影:堀井さん


ライデンは小さな都市ですが、学生、研究者、そして学術的知識に溢れています。私の一日は自転車に30分乗り、娘をオフィス近くの保育園に預けることから始まります。こちらの保育園に通い始めて1ヶ月になりますが、娘はもうオランダ語や英語の単語を口にしはじめ、家では日本語やフランス語も交えて話します。彼女は日本でも同じように保育園に通っていましたが、ここで違うのは、子供たちがもつ国籍や話す言語の多様性です。私の職場も同じように、多様性の縮図です。ある夜、VVIの同僚に招かれ夕食を食べに行ったとき、同僚の一人がふと、それぞれが異なる国から来ていることを口にしました。改めてみてみると、その場にいた同僚は日本、オランダ、インドネシア、ポルトガル、オーストラリア、フランス、リビアそれぞれ異なる国から来ていました。この多様性は、研究面だけ でなく、娘の成長の面でも大きなプラスになるだろうと感じています。

オフィスでとりわけ素晴らしいと思うのは、ここでは効率が重要視され、プライベートを大事にしていることです。このオフィスの同僚の大半には子どもがいますが、子育てをしているかどうかに関わらず、彼らは大抵午前10時に来て午後5時にはオフィスを出ます。こういった環境のおかげで、私にとってはライフ・ワーク・バランスが取りやすく、同時に仕事を効率的に済ませようという気持ちが強くなります。私の契約上の労働時間は38時間なのですが、学ぶことがまだまだ数多くあると感じついついそれ以上の時間を費やしてしまうと、オランダ人の同僚に「どうして38時間以上働くの?」と言われます。また私の上司である指導教官は「もっと金曜日に休みを取ってもいいんだよ。」と 言います。彼らにとって、重要なのは成果物である博士論文なのであり、博士課程の終わりによい論文をまとめることができれば、週80時間かかろうと、38時間以下であろうと、使った時間は関係ないと言うのです。

研究テーマに関して、私は人類学者であるオランダ人の同僚と共同研究を進めています。私はこの同僚と1年半にわたって研究を進めてきましたが、1年半前に彼女と出会えたのは、名古屋大学のリーディング大学院の修士課程中にVVIでインターンシップをする機会を与えてもらえたおかげです。これから私たちは共同論文を書き、ベルギーで開催される法開発分野の学会で発表する予定です。 ( https://www.uantwerpen.be/en/rg/law-and-development/news-and-events/law-development-research-conference/ )

共同研究者と共に

共同研究を行い論文をまとめるのが容易でないことは、名古屋大学のリーディング大学院で経験しました。名古屋での共同研究プロジェクトでは、異なる国籍(日本、中国、台湾、バングラデシュ、ウズベキスタン)、異なる専門分野(法律、政治)の学生と役割を分担しました。こちらでの共同研究プロジェクトもまた一筋縄にはいかないでしょうが、以前の経験のおかげで、どのような準備や心構えをしておけばいいかがわかります。

この研究プロジェクトの一部は、トヨタ財団の助成を受けます ( https://www.toyotafound.or.jp/english/program/research.html )。 このプロジェクトでは、二つのワークショップ(一つは幼児婚関連の研究者、政府関係者および活動家が参加するもの、もう一方はフィールドワークを行う地域の裁判官が参加するもの)、オランダのインドネシア人コミュニティーとのインタビューの、そしてインドネシアでのフィールドワークを実施します。このプロジェクトへのトヨタ財団の助成により、プロジェクトの実現を後押ししてもらえることに加えて、この研究が価値を認められたという面で特にうれしく感じます。今ライデンで自分のやりたい研究ができていること、そして名古屋大学のリーディング大学院がその機会を与えてくれたこと、毎日ありがたく思って研究をしています。この機会を与えてくれた人々の信頼に応えられるよう、ここで日々できることを精一杯やっていくつもりです。

2016.04.05. 春がきたばかりのオランダより

撮影:堀井さん



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